カスタマーサクセスのKPI/KGIとは?それぞれの設定方法から徹底解説

#お役立ち記事 : CSのTips

2024年5月2日

カスタマーサクセス(CS)におけるKPI/KGIは、CS活動の成果を可視化し、改善のための指標として活用される重要な指標です。適切なKPI/KGIを設定することで、顧客の満足度向上やロイヤリティの強化、ひいては企業の収益拡大につなげることができます。本記事では、CS領域で押さえておくべきKPI/KGIについて、その意味や具体例、設定方法を詳しく解説します。KPI/KGIを効果的に運用するためのポイントも併せて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。 CSの取り組みを成功に導くために、KPI/KGIを戦略的に活用していきましょう。

カスタマーサクセス(CS)とは?

カスタマーサクセス(CS)とは、顧客との長期的な関係性を構築し、顧客の成功を支援することで、顧客満足度やロイヤリティを高める取り組みのことを指します。単なるカスタマーサポートとは異なり、CSは顧客のビジネス目標達成に proactiveに関与していくことが特徴です。 CSの目的は、顧客のLifetime Value(LTV)を最大化し、企業の持続的な成長を実現することにあります。そのためには、顧客との信頼関係を築き、顧客の課題や要望に真摯に向き合い、ソリューションを提供し続けることが求められます。 

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カスタマーサクセスのKPI/KGIの設計方法とは?

カスタマーサクセスのKPI/KGIを適切に設計することは、CS活動の成果を最大化する上で非常に重要です。ここでは、KPI/KGIの設計方法について、ステップバイステップで解説していきます。 まず、KPIとKGIの違いを理解することが大切です。 以下では、KPIの策定から決定までのプロセスと、KGIから逆算してKPIを設定する方法について詳しく見ていきましょう。

KPIの策定→KPIの決定

KPIの策定は、事業の目標や戦略を踏まえて行う必要があります。まずは、自社のビジネスモデルや顧客セグメントを整理し、CSの目的を明確にしましょう。その上で、目的達成のためにはどのような顧客行動が必要かを考え、それを測定するための指標を選定します。 選定したKPI候補については、SMART原則(Specific:具体的、Measurable:測定可能、Achievable:達成可能、Relevant:目的に関連している、Time-bound:期限がある)に照らし合わせて評価します。適切なKPIは、数値化が可能で、アクションに落とし込みやすいものであるべきです。 最終的には、CSチームだけでなく、関連部署とも協議の上、優先順位の高いKPIを絞り込んでいきます。その際、KPIの数は絞り込むことが肝要です。あまり多くのKPIを設定すると、現場が混乱したり、本質的な課題への対応が疎かになったりする恐れがあります。

現状の把握

KPIを決定したら、現状のパフォーマンスを把握することが重要です。過去のデータを収集・分析し、ベースラインを設定しましょう。 分析に際しては、全社的な傾向だけでなく、セグメント別の傾向も確認することが大切です。例えば、顧客規模や業種、利用プランなどによって、KPIの値に違いがないかを見ていきます。セグメント別の分析は、課題の所在を明らかにし、施策の優先順位付けに役立ちます。 現状把握のもう1つのポイントは、競合他社との比較です。自社のパフォーマンスが業界水準と比べてどうなのかを知ることで、改善の余地や強みを識別できます。ただし、競合情報の入手が困難な場合もあるため、参考程度に留めておくことが賢明です。

KGIから逆算してKPIを決定

KPIの設定には、トップダウンとボトムアップのアプローチがあります。トップダウンアプローチでは、KGIから逆算してKPIを決定します。 まず、事業全体の目標から、CSが担うべきKGIを設定します。例えば、全社の売上目標が100億円の場合、CSのKGIを売上の10%アップと定めるなどです。次に、KGI達成のために必要なCS施策を洗い出し、それぞれの施策に紐づくKPIを設定していきます。 KGIからKPIを導き出すことで、CSの取り組みを事業目標に直結させることができます。また、KPIの優先順位付けがしやすくなるというメリットもあります。 一方、ボトムアップアプローチは、現場の課題や顧客の声を起点にKPIを設定する方法です。顧客接点で得られた気づきを活かせるため、よりきめ細かい改善が期待できます。ただし、全社目標との整合性を確認する必要があるため、トップダウンアプローチと組み合わせることが望ましいと言えます。

カスタマーサクセスにおけるKPI/KGIの具体的な指標とは?

カスタマーサクセスにおけるKPI(Key Performance Indicator)とは、カスタマーサクセス活動の成果を測定するための重要な指標のことです。一方、KGI(Key Goal Indicator)は、カスタマーサクセス活動の最終的な目標を示す指標であり、事業全体の成果に直結するものです。 CSのKPIとKGIを適切に設定し、モニタリングすることで、CS活動の効果を可視化し、改善に繋げていくことができます。以下では、代表的なCSのKPI/KGIについて、その意味と設定方法を解説します。

①解約率(チャーンレート)

解約率(チャーンレート)は、一定期間内に解約した顧客の割合を示す指標です。解約率が高いということは、顧客満足度が低く、製品やサービスに問題がある可能性が高いと言えます。 解約率を計算するには、まず解約者数と顧客総数(期首顧客数)を把握する必要があります。期首顧客数から解約者数を引き、期首顧客数で割ることで、解約率を算出できます。 目標解約率を設定する際は、業界平均値や自社の過去のデータを参考にすることが有効です。ただし、解約には様々な要因が絡んでいるため、単に解約率の数値だけを追うのではなく、解約理由を深掘りし、それぞれ対策を打っていくことが重要です。

解約率の算出方法

解約率(チャーンレート)は、一定期間内に解約した顧客の割合を示す指標です。解約率が高いということは、顧客満足度が低く、製品やサービスに問題がある可能性が高いと言えます。解約率を計算するには、まず解約者数と顧客総数(期首顧客数)を把握する必要があります。期首顧客数から解約者数を引き、期首顧客数で割ることで、解約率を算出できます。

解約率の種類には、月次解約率と月次更新解約率があります。

【月次解約率】

月次解約率は、ある月の解約者数を、その月の期首顧客数で割って計算します。

月次解約率 = 当月に失ったMRR(Monthly Recurring Revenue)÷ 前月に失ったMRRの総額

この指標は、その月に解約した顧客の割合を示しますが、解約のタイミングによっては、その月に獲得した顧客も含まれる可能性があります。

【月次更新解約率】

月次更新解約率は、ある月の解約者数を、前月末の顧客数で割って計算します。

月次更新解約率 = 当月に失ったMRR(Monthly Recurring Revenue) ÷ 今月末が契約期限のMRRの総額 

この指標は、前月までに獲得した顧客のうち、その月に解約した顧客の割合を示します。新規獲得顧客の影響を受けないため、既存顧客の満足度をより正確に反映していると言えます。

目標解約率を設定する際は、業界平均値や自社の過去のデータを参考にすることが有効です。ただし、解約には様々な要因が絡んでいるため単に解約率の数値だけを追うのではなく解約理由を深掘りし、それぞれ対策を打っていくことが重要です。解約率を改善するためには、顧客とのコミュニケーションを密にし、フィードバックを収集・分析することが欠かせません。また、製品やサービスの質の向上/顧客サポートの強化/価格の見直しなども検討すべきでしょう。

②LTV

LTV(Life Time Value)は、顧客が製品やサービスを利用する期間全体で生み出す価値を示す指標です。LTVを最大化することは、CSの重要な目標の1つと言えるでしょう。 LTVは、1顧客あたりの平均購入額と平均利用期間、解約率などから算出します。平均利用期間を延ばし、解約率を下げることでLTVを向上させることができます。 LTVを高めるためには、顧客とのエンゲージメントを高め、顧客の満足度を上げていくことが不可欠です。そのためにも、顧客の声に耳を傾け、ニーズに合ったサービスを提供し続ける必要があります。

③NPS(顧客推奨度)

NPS(Net Promoter Score)は、顧客がどの程度自社の製品やサービスを他者に推奨する可能性があるかを示す指標です。顧客ロイヤリティを測る上で重要なKPIの1つと言えます。 NPSは、「自社の製品やサービスを友人や同僚に推奨する可能性はどれくらいありますか?」という質問に対する回答(0~10点)から算出します。9~10点をつけた顧客がプロモーター、7~8点がパッシブ、0~6点がデトラクターに分類され、プロモーターの割合からデトラクターの割合を引いた値がNPSとなります。 NPSを向上させるには、デトラクターの割合を減らし、プロモーターを増やしていくことが重要です。そのためには、顧客の声を収集・分析し、改善につなげていく必要があります。また、プロモーターには積極的に働きかけ、アンバサダー化を図ることも効果的です。

④オンボーディング完了率

オンボーディングとは、新規顧客が製品やサービスの利用を開始してから、十分な価値を得られるようになるまでの一連のプロセスを指します。オンボーディング完了率は、そのプロセスをどれだけの顧客が完遂できたかを示す指標です。 オンボーディングの内容は、製品やサービスによって異なりますが、一般的にはアカウント作成、初期設定、チュートリアルの実施、主要機能の利用などが含まれます。各ステップの完了率を把握し、つまずきやすいポイントを特定することが重要です。 オンボーディング完了率を高めるには、ユーザーフレンドリーなUIや分かりやすいガイダンスの提供、ユーザーサポートの充実化などが有効です。円滑なオンボーディングは、その後の顧客満足度やリテンションに大きな影響を与えるため、注力すべきポイントと言えるでしょう。

⑤売上継続率

売上継続率(リカーリングレベニュー)は、サブスクリプション型のビジネスモデルにおいて重要な指標です。一定期間内に継続課金された売上高が、全体の売上高に占める割合を示します。 売上継続率は、月次や年次など、一定期間ごとに計算します。計算式は、期末の継続課金額を期首の継続課金額で割った値となります。売上継続率が高いほど、顧客ロイヤリティが高く、安定した収益が見込めると言えます。 売上継続率を高めるためには、解約率を下げることが重要です。そのためには、顧客の満足度を高め、製品やサービスの価値を継続的に提供し続ける必要があります。また、定期的なコミュニケーションを通じて、顧客との関係性を強化することも効果的です。

⑥アップセル・クロスセル率

アップセルとは、現在利用中の製品やサービスのグレードアップを提案すること、クロスセルとは、関連する別の製品やサービスの利用を提案することを指します。アップセル・クロスセル率は、提案が成約に至った割合を示す指標です。 アップセル・クロスセル率を計算するには、提案件数と成約件数を把握する必要があります。成約件数を提案件数で割った値が、アップセル・クロスセル率となります。この指標を高めることで、顧客単価の向上と売上拡大を図ることができます。 アップセル・クロスセルを成功させるには、顧客のニーズや課題を的確に捉え、適切なタイミングで提案することが重要です。そのためには、日頃から顧客とのコミュニケーションを密にし、信頼関係を構築しておく必要があります。また、提案内容については、顧客にとっての価値を明確に伝え、メリットを実感してもらうことが求められます。

まとめ

本記事では、カスタマーサクセス(CS)における重要指標であるKPI/KGIについて、その意味や具体例、設定方法を詳しく解説してきました。 

KPIはCS活動のパフォーマンスを測定し、改善に導くための指標であり、KGIは最終的な目標達成度を示す指標です。両者を適切に設定し、モニタリングすることが、CS活動の成果を最大化するために不可欠だと言えるでしょう。 特に、KPIの設定においては、事業目標との整合性を図りつつ、現場の課題にも目を配ることが肝要です。 また、KPI/KGIの数値だけに囚われるのではなく、その背景にある顧客の声や行動変容に着目することも大切です。数値の変動要因を深掘りし、仮説検証を繰り返すことで、より効果的な施策立案が可能になります。 CSは、顧客と企業の架け橋となる重要な役割を担っています。KPI/KGIを活用し、顧客の成功を支援し続けられるCSになるために是非参考にしてください。