『カスタマーサクセスにおけるAIエージェントの導入事例と未来』カスタマーサクセス徹底調査レポート#2
#寄稿記事
2025年7月23日
本記事はMagicSuccessとCSヒーローズの共同企画「カスタマーサクセス徹底調査レポート」#2です。
はじめに
こんにちは。私は、カスタマーサポート・カスタマーサクセス歴17年を超えるCSスペシャリストとして活動している、135o-ヒャクサンジュウゴド- CEOのきんぐ(牛見 暁)です。弊社では多様性と共創の観点からビジネスネーム制を採用し、2025年3月に起業、サラリーマンとの二刀流でビジネスと向き合っています。現在は、地域創生事業や、CS特化型の戦略/運用支援を行う「CSヒーローズ」を運営し、スタートアップを中心に企業のCS戦略実行を伴走支援しています。
本記事は、MagicSuccess × CSヒーローズの共同企画「カスタマーサクセス徹底調査レポート」第2弾です。今回は、「AIエージェントとCSの融合」という最先端のテーマを取り上げ、CSの文脈で実際に活用されているAIエージェントの現状と、そこから見える未来像を調査・整理しました。
なお本レポートは、AI技術(ChatGPT DeepResearch等)を活用した文献調査を経て執筆していますが、調査データは人間視点で精査・編集・構成し、実務で使える知見として整理しています。
執筆の目的は「AIか人か」ではなく、「今、CSの現場で価値のある情報を伝えること」です。
1. カスタマーサクセスとAIエージェントの現在地
AIエージェントは、いまやCSの業務効率化にとどまらず、顧客の成果創出=アウトカム達成に向けた重要パートナーとしての役割を担いつつあります。
ただし「AIチャットボット」「カスタマーサポート」などと混同されがちですが、本記事ではあくまでカスタマーサクセス(解約防止/アップセル/価値共創)に寄与するAIエージェントに絞って議論します。
最近では以下のような「CS向けAIエージェント」の活用が広がっています。
CSMの業務を支援する AIコパイロット
データに基づいて最適な施策を提示する AIサクセスマネージャー
顧客行動ログを解析し自動提案する ヘルススコア予測エージェント
AIによるプレイブック推薦・スクリプト生成
顧客からの声を解析する VOC(Voice of Customer)解析エージェント
特に生成AIの進化により、「CUA(Computer Using Agent)=プロダクトを顧客に代わって操作・案内するエージェント」も登場しつつあり、従来の自動応答を超えた“パートナー型AI”が実用化されつつあります。
2. フェーズ別でみるAIエージェント活用の進化
CS領域におけるAIエージェント活用は、次のように進化フェーズを分けて整理できます。
フェーズ1:対応業務の自動化(チャットボット〜通知)
顧客からの問い合わせへの自動対応
定期的なNPS・満足度調査の送信
QBR案内などのスケジュール通知
▶主な目的:CSMの工数削減、情報提供の均一化
フェーズ2:データを活かした支援提案(AIコパイロット)
顧客のプロダクト利用傾向や属性に応じた施策提案
商談・オンボーディング履歴をもとにした次の打ち手サジェスト
顧客状態(温度感)に応じたアラート生成
▶主な目的:属人化の解消、タイムリーなアプローチ実現
フェーズ3:AIが顧客のアウトカムにコミットする(CUA型支援)
顧客のKPI達成をAIが補助(設定・実行支援)
製品UIのナビゲーションや提案をAIが代行
パーソナライズされたサクセスプランをAIが生成・調整
▶主な目的:スケーラブルな価値提供、LTV最大化、NDR(売上継続率)向上
3. 国内の注目事例
ここでは、CSにおいてAIエージェントを実践的に活用している企業をご紹介します。カスタマーサポート領域のものがまだ多いですが、今後、カスタマーサクセス領域においてもAIエージェントを様々なプロダクト・サービスで利用できる未来がどんどん近づいていきそうですね!
ラクス
問い合わせ管理システム「メールディーラー」において、問い合わせ対応の完全自動化を目指し、2025年7月9日よりAIエージェント機能を順次搭載していく方針
第一弾として、AIがメールの返信文を自動生成する「メール作成エージェント」をリリースし、問い合わせ対応におけるメール作成時間の削減を目指すと宣言
出展: https://www.rakus.co.jp/news/2025/0710_3.html
カラクリ
日本企業初のComputer-Using Agent「KARAKURI VL」 を公開 - コンピュータ操作を完全自動化できるAIエージェント
顧客からの問い合わせに対応しながら、複数のシステムを操作し、マニュアルを参照し、適切な回答を作成するという複雑な業務フローを、AIが自動化できるよう設計されました。
出展: https://karakuri.ai/news/GENIAC
4. 今後のAIエージェントとCSの未来
CSにおけるAIエージェントの未来は、人の代替ではなく「人の強化」です。
今後登場しうるAIエージェント像として、以下が挙げられます。
❶ マルチチャネルCSエージェント
SlackやZoom、メール、プロダクトUIなど複数チャネル横断でCSを実行するAI。CSMの不在時や深夜対応などにも代行可能。
❷ CUA型プロダクト利用代行エージェント
顧客が行いたい操作(例:設定変更、データ出力)を代行し、「成果だけ」得られるように設計されたAI。顧客の「時間を奪わないCS」として注目。
❸ サクセスストーリー生成AI
過去の成功事例と顧客情報からその企業に最適なCS戦略(ロードマップ)を自動生成するAI。人間の戦略設計力を補完。
上記以外にもアカウントプランの自動生成、カスタマージャーニーの設計やメンテナンスから、設計した戦略を実行に落として稼働するAIエージェントが出てくると嬉しいですね。
5. 導入のすすめ方と成功のカギ
AIエージェントの導入にあたって、CS組織が意識すべきポイントは以下のとおりです。
まずは属人業務の見える化:「なぜ人がやっているのか」からスタート
Quick Winが得られる領域に限定して導入(例:利用促進のトリガー通知など)
現場CSMとの共同設計体制を整える
AIのアウトプット精度を測定→改善フローを定着させる
また、ツール選定では以下のようなCSPとの連携を前提に設計しましょう:
MagicSuccess
Gainsight
Growwwing
Successhub
これらのCSPはプロダクトデータやCRMと連携しやすく、AI機能をCS施策に直結させやすい点で優れているとされています。予算もチェックしながら相談してみてはいかがでしょうか。
あとがき
AIエージェントは、カスタマーサクセスにおいて今後ますます「戦略実行の伴走者」としての役割を担っていくことは間違いありません。大切なのは、AIをただの業務効率化ツールとしてではなく、顧客成果創出を支援する“チームの一員”と捉えられるかどうかです。
もし、AIを取り入れたCS施策設計や、戦略設計・実行まで伴走するCSパートナーをお探しであれば、「MagicSuccess」(https://magicsuccess.tech/)や、実績豊富なCSスペシャリストチーム「CSヒーローズ」(https://135o.jp/6)をご検討ください。
皆さんのCSが、データとAIの力で次のステージへ進む一助となれれば幸いです。
企画:株式会社UPDATA × 合同会社135o
活用生成AI:ChatGPT(DeepResearch)
校正・執筆:合同会社135o CEO きんぐ(牛見 暁)
https://x.com/akatsuki_cs
参考文献一覧
カスタマーサクセスにおけるAIエージェントの役割とは?( https://x.gd/nIBxm )
AIエージェント:カスタマーサクセスの新たな設計者( https://www.aviso.com/blog/ai-agents-new-architects-of-customer-success )
なぜAIエージェントがビジネスに変革をもたらすのか( https://x.gd/nq8V )
【2025年5月前半】カスタマーサクセスとAIの最前線:データ活用・AIエージェント・コミュニティ戦略( https://note.com/mikanvoller/n/n01bb9ee671aa )
デジタルカスタマーサクセスの役割について( https://x.gd/4xRN1 )
「メールディーラー」にAiエージェントを搭載( https://x.gd/k1cU2 )
カラクリ、日本企業初のComputer-Using Agent「KARAKURI VL」 を公開 - コンピュータ操作を完全自動化できるAIエージェント( https://karakuri.ai/news/GENIAC )